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おもにエレクトリックギターについて。
なんかページが動画の埋め込みだらけになってしまってごめんなさい…

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星に願いを
 
戦局が絶望的となっていたにもかかわらず本土の盾として徹底抗戦を強いられていた沖縄で、民間人ばかりが集った簡素な防空壕。

夜になってもやまない艦砲射撃に怯えていると、暗闇の中で乳飲み子の泣き声がする。
泣きやまない声にだれかがうるさいと叫び、母親らしき声がすみませんすみませんと謝る。

ひゅっという風切り音の後に爆音が響き、防空壕がガタガタと揺れ、天井から土が落ちてくる。

だれかが鼻歌をうたっている。だれかが念仏のようなものを唱えている。だれかが呻いている。だれかが万歳と言っている。乳飲み子が泣いている。

この狂気を終わらせる方法は私にはわからない。
それでも狂気には狂気で対抗するしかなかろう。

暗闇で一人の少女がすっと立つ。
真っ白い服を着て髪の長い少女は暗闇を壁伝いに出口へと向かった。
おいどこへ行く、という声は彼女には聞こえない。

外へ出ると焦げた臭いと人が燃えた臭いが充満していた。
見上げると、煙の向こうに満天の星空が見えた。充分だ。

また風切り音がひゅっと鳴って、直後に爆風が少女の長い髪を激しく揺らす。
しかし少女は振り向きもせず裸足で浜辺へと歩いてゆく。

浜辺は月明かりに照らされていた。
そこらじゅうに打ち上げられた何かの残骸や死体が青くぼんやりと浮かび上がる。

満天の星空の水平線近くにいくつもの巨大な船が黒く見えた。
それらがちかちか、と光って、少ししてまた風切り音と爆風が後ろで鳴った。

少女は水際に立つと目を閉じて、手を広げて祈り始めた。

すると、星空から幾千もの流れ星が尾を引きながら水平線近くの船に向けて落ちて行った。
流れ星の群れは船を襲い、たちまちすさまじい音とともに沈んでいった。

船たちの姿が消え、水平線が薄い火の海になったころ、少女の姿は浜辺にはなかった。

青く仄暗い海の底を、一人置き去りにされた少女が裸足で永遠に歩いてゆく。




この曲を初めて聴いたのが沖縄へ修学旅行に行った中学三年生のころでした。
その時からこういう物語が鮮明に浮かびます。


| 日々。 | 22:38 | comments(0) | trackbacks(0)
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